高齢者あんしん避難ガイド

高齢者の災害時医療備え:薬の管理と必要な医療情報のまとめ方

Tags: 高齢者, 災害対策, 医療備え, 薬, お薬手帳, 避難準備, 持病, 介護

もしもの時のために、大切な薬と医療情報の備えを

地震や台風などの災害は、いつ起こるか予測ができません。特に持病をお持ちの高齢者の皆様や、そのご家族にとって、災害時の避難生活やその後の暮らしで心配なことの一つに、「薬はどうすればよいのか」「自分の体のことを避難先で正確に伝えられるだろうか」といった医療に関する備えがあるかと思います。

このページでは、高齢者の皆様が災害時にも安心して医療を受けられるよう、普段から準備しておきたい薬の管理方法や、大切な医療情報のまとめ方について、分かりやすくお伝えします。少しずつ、できることから始めてみましょう。

災害に備える「薬」の準備

普段から飲んでいる薬がある方にとって、災害時に薬が手に入らなくなることは大きな不安につながります。まず、以下の点を準備しておきましょう。

1. 普段飲んでいる薬のリストを作る

ご自身やご家族が普段から服用している全ての薬について、リストを作成します。 * 薬の名前: 正確な商品名または一般名 * 量と飲み方: 1回に飲む量や飲むタイミング * 処方している病院や医師の名前、連絡先: * かかりつけ薬局の名前、連絡先: * 薬を受け取っている日付: (直近のものが分かると良い)

手書きのメモでも、パソコンで入力したものでも構いません。もし可能であれば、お薬手帳のコピーを取っておくことも非常に役立ちます。

2. 予備の薬を準備しておく

災害発生後、すぐに医療機関や薬局が開いているとは限りません。ご自身やご家族に必要な薬を、普段から数日分から1週間分程度、少し多めに準備しておくことを検討しましょう。どのくらいの量を備蓄すべきか、また長期処方についてなどは、かかりつけ医や薬剤師にご相談ください。

3. お薬手帳を大切にする

お薬手帳は、あなたがこれまでにどのような薬を、いつ、どれくらい使ってきたかの大切な記録です。医師や薬剤師があなたの体質やアレルギー、飲み合わせなどを把握するために非常に役立ちます。災害時には、避難所の医療担当者などに提示することで、適切な処置を受けやすくなります。普段から必ず持ち歩くか、すぐに持ち出せる場所に保管しておきましょう。

災害に備える「医療情報」の準備

薬の情報だけでなく、ご自身の体の状態に関する情報もまとめておくことが大切です。避難先で体調が悪くなった時や、いつもと違う医療機関にかかる必要が出た際に、ご自身の状態を正確に伝えるために役立ちます。

まとめておきたい医療情報リスト

以下の情報を、薬のリストと一緒にまとめておきましょう。 * 持病の名前: (例: 高血圧症、糖尿病、心臓病など) * アレルギー情報: 特定の薬や食べ物に対するアレルギーの有無とその内容 * 過去の大きな病気や手術: いつ頃、どのような病気や手術をしたか * かかりつけ医・かかりつけ薬局の連絡先: (前述のリストと重複しても良い) * 緊急連絡先: 家族や親戚など、緊急時に連絡を取ってほしい人の名前と連絡先 * 体質に関すること: (例: 胃腸が弱い、冷えやすいなど、普段から医師に伝えていること) * 接種した予防接種: (特に高齢者肺炎球菌ワクチンなど)

これらの情報は、分かりやすいように大きな文字で書いたメモやカード、あるいは「もしもノート」のようなものにまとめておくと良いでしょう。顔写真も一緒に貼っておくと、本人確認や情報の一致に役立ちます。

まとめと情報の保管・共有

薬のリストや医療情報をまとめたら、それをどのように保管し、誰と共有するかが重要です。

ご自身だけでなく、介護が必要なご家族がいる場合は、その方の薬や医療情報についても同様に準備を進めましょう。

かかりつけ医や薬剤師に相談してみましょう

災害時の薬の備蓄や、医療情報のまとめ方について不安がある場合は、遠慮なくかかりつけ医や地域の薬剤師に相談してください。災害に備えた処方や、お薬手帳以外の情報記録方法についてアドバイスをもらえることがあります。地域の保健所や自治体の窓口でも、高齢者の医療に関する相談を受け付けている場合があります。

まとめ:今できることから一歩踏み出しましょう

災害への備えは、一度に全てを完璧にする必要はありません。まずは、今飲んでいる薬の名前を確認することから始めてみましょう。そして、できる範囲でリストを作成し、家族と共有してみてください。こうした小さな一歩が、もしもの時の大きな安心につながります。

大切な命と健康を守るために、今日から少しずつ、災害時の医療備えを進めていきましょう。